第3章 新生活
side.名前
「いただきます」
うん。
今日も美味しい。
悟さんの作るご飯はいつも美味しいけど、一人だと味気ない。
最初の2週間はべったりだったのに。
今は正直寂しいよ。
エッチしたらこの寂しさが埋まるんじゃないかって考えちゃう。
「ごちそうさまでした」
食器を片づけて、悟さんの作ってくれたお弁当を鞄につめる。
施錠をして、私は教室へ向かった。
呪術師の学校は東京校と京都校に分かれているようで、2年生は私だけ。
3年生には伊地知さんがいて、4年生には七海さんがいる。
既に卒業した悟さんは呪いを祓うお仕事で活躍していた。
午前中は歌姫先生の授業を受けて。
午後は医務室で硝子さんのお手伝いをしている。
「名前。どうした?疲れた顔して」
硝子さんにまで心配されてしまう。
「いえ。ちょっと悩んでて…」
「あのクズのこと?」
こんな悩みを聞いて貰っていいのかな?
「実は…」
正直に打ち明けると、硝子さんは笑った。
「そんな事で悩んでたの?」
「私にとっては一大事なんです」
「アイツ。名前のことが大事なんだな」
「そうなんでしょうか?」
私は不安に感じているのに。
「私に妙案があるけど、覚悟はある?」
私は硝子さんの言葉にコクリと頷いた。