第20章 僕の発情期*
side.名前
最近、悟さんの様子がおかしい。
何度も声を掛けてもスルーされるし。
ボーッとしてる事が多い。
お仕事が忙しいのかな?
それとも何か遭った?
現に今も…
「悟さん?」
「………」
「悟さん」
「………」
「悟さんっ!お魚焦げるよっ!」
「えっ!?あっ!ヤバッ!」
最近の悟さんはいつもこんな感じ。
「私がやるから座ってていいよ?」
「…あー…ごめん…」
悟さんをソファーの方へ押しやって、私がキッチンに立つ。
本当に大丈夫かな?
硝子さんに診てもらった方がいいかな?
ここまで上の空だと、凄く心配になる。
机に食器を並べて、一緒にご飯を食べ始めた。
「ねえ?名前…」
「うん?」
「…僕…発情期かも…」
「ぶふっ!ゴホッゴホッ!」
何を言い出すかと思ったら、何て事を…
思わずお味噌汁を吹き出してしまい、噎せて変なところに入ってしまった。
「名前っ!大丈夫!?」
「ゴホッゴホッ!」
悟さんに背中を摩られて、何とか咳が治まる。
「ゴホッ…いきなり…どうしたの?」
発情期ってあれだよね?
動物がする交尾のことだよね?
「…んー…僕も初めてのことで。戸惑ってるんだ…」
「そっか」
最近の悟さんは危ういから。
大事になる前に阻止しないと。