第18章 可愛い妻の看病*
side.名前
「硝子。ありがとうね」
「硝子さん。お世話になりました」
「いいよ。早く元気になりな」
私はまたぐるぐる巻きにされて、
悟さんに部屋まで運ばれる。
「名前。電気敷毛布買ってきたら、これで温かいよ」
「…うん…」
「はい。加湿マスクもしようね♥」
「ん…」
悟さんは私を温かいベッドの中に入れると、
アロマの香りがするマスクを耳にかけた。
「食欲ないと思うけど、すりおろしりんごなら食べれる?」
「うん」
「あ、その前に冷えピタ貼ろうね♥」
「…うん…」
せこせことお世話を焼かれる。
こんなに手厚く介抱されたのは、初めてだった。
お布団の中から悟さんの姿を見て、
何とも言えない気持ちになる。
お母様が死んで早一年。
あの時は凄く悲しかったけど、
その後、悟さんが家族になってくれた。
とても大事にしてくれるから、
寂しくないし、今は凄く幸せなの。
「名前ー♥出来たよー♥」
「うん」
「はい。あーん♥」
「あーん」
悟さんがすりおろしりんごを口内に入れてくれる。
美味しい。
私がふにゃりと笑うと、悟さんも満足そうに笑った。