第18章 可愛い妻の看病*
side.名前
点滴をしている間も側にいてくれると思ったのに、
悟さんは出かけてしまった。
「…硝子さん…」
「ん?どうした?」
「あとどれくらいで点滴終わりますか?」
「10分くらいだよ」
「…そうですか…」
あと10分で悟さんは帰ってきてくれるのかな?
寂しい。
心細い。
早く帰ってきて、抱きしめて欲しい。
じわりと涙が溢れてくる。
「…悟さん…」
ポツリと呟いた瞬間、
ふわりと抱きしめられた。
「呼んだ?」
「…悟さん…」
恋しかった声を聞いて、ポロポロと涙が溢れる。
「どうしたの?寂しかった?」
「…うん…寂しかった…」
悟さんの温もりに包まれて、
漸く安心を取り戻す。
どんなに分厚いお布団なんかより、
悟さんの体温が落ち着くの。
だから私から離れないで。
「…帰ってこないかもって…不安だったの…」
「あー。もう。名前は可愛いなぁ」
涙を拭われて、背中を摩られる。
「名前が食べれそうなもの。色々買って来たんだ」
「そうだったんだ…」
「もう離れないから安心して?」
「うん」
漸く点滴が終わって、硝子さんにお薬を貰った。