第2章 お見合い
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「…目を…閉じるのが怖いんです」
「そっか。でも今は僕がいる。もう一人じゃないから安心して」
「…はい…」
「夜中のトイレも着いて行くし。怖い夢をみたら起こしていいんだよ?」
「…流石にトイレは…行けます…」
トイレにまで着いてこられるのは恥ずかしいよ。
でも、ここに来て良かった。
久しぶりに心が落ち着いた気がする。
「あと、僕には敬語は禁止ね」
「えっ?」
いきなりそう言われても。
「…頑張ります…」
「あ、ほら。また」
「えっと…頑張る」
「うん。少しずつ僕に慣れてよ」
「はい…じゃなくて…うん」
悟さんに慣れる日なんてくるのかな?
写真で見るよりカッコイイし、なんというかフェロモンが凄い。
こんな素敵な人が。
私の家族になってくれるなんて思わなかった。
「…悟さん…私なんかで…いいんでしょうか?」
「ん?何が?」
「私なんかが…悟さんのお嫁さんに…なれるんでしょうか?」
「また敬語になってるよ?」
「あっ!」
咄嗟に口を覆う。
悟さんは私を拾った猫のように持ちあげると、横向き座らせた。