第2章 お見合い
side.名前
これじゃあ悟さんの顔が見えちゃって恥ずかしいよ。
キュッとくっついて顔を見えないようにする。
「…名前。目閉じてごらん」
言われた通り、キュッと目を閉じるみる。
すると、不思議と目を瞑る怖さはなくなっていた。
暫くして、
唇に柔らかい感触を覚える。
薄ら目を開けると、
私の唇は悟さんに塞がれていた。
え…
これ…
ファーストキス…
“ちゅッ♡”と唇が離れると、
恥ずかしさと嬉しさで困惑してしまう。
真っ赤になっていると、
悟さんにギュッと抱きしめられた。
「僕はね、君がいいんだ」
「ほ…本当…ですか?」
「うん」
恐る恐る聞いてみると、
笑って即答される。
私なんかの…
どこがいいの?
酷く優しい顔で私を見る悟さん。
「さあ。今日は疲れただろうし。もう寝ようか」
悟さんは私を抱えてお布団に入った。
「名前が寝つくまで抱っこしててあげるから」
「うん」
私は悟さんの腕の中にすっぽりと納まる。
それが酷く安心できて、
直ぐにウトウトしてしまう。
この温もりも、
匂いも好き。
「おやすみ。名前」
「おやすみ…なさい…悟さん」
私を安心させる声。
その日。
私は久しぶりによく眠れた気がした。