第15章 硝子さんの代理*
side.五条悟
気にいらない。
僕が不貞腐れていると、七海が部屋に入ってきた。
「あれ?五条さん?」
「ああ。お疲れ。七海ー」
「こんな所にいていいんですか?」
「いいの。今日は名前が当直だから、僕は暇なのさ」
「その名前さんですが。大層人気のようですよ?」
「…そうみたいだね…」
「いいんですか?」
「いいんじゃない?」
子供のように、プウッと頬を膨らませる。
いいわけないよ。
名前が人気者なのは仕方がないけどさ。
彼女に僕以外の男が近づくのは嫌だ。
治療だからといって、僕以外の男に触れないで。
本当はそう思ってる。
「はぁっ…五条さん。貴方、我慢なんて出来ないでしょう」
「僕これでも、もう20なんだよ?我慢くらい出来るよ」
「はぁっ…そうは言っても。そんなにボールペンをへし折っていては説得力ありませんよ」
「だって勝手に折れるんだもん」
僕が握るボールペンは尽く折れていくんだ。
「うううっ!やっぱり無理っ!」
「はぁっ…でしょうね…」
僕は最後のボールペンを握り潰すと執務室を飛び出した。