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【鬼滅の刃】水鏡之人【錆兎】

第7章 同期達の証言





だから音羽は、自分から逃げてるんじゃないのか?そう思い、問いかけると、村田は「あぁ、それなぁ。」と頷いた。

「音羽が今受けてるのは、ただのやっかみだよ。お前を取られたくない女の嫉妬と、男子達の高嶺の花である音羽を、お前に取られたくない男の嫉妬。そうやって言っておけば、いつまでもお前と音羽は犬猿の仲だろ?」

「なんだよ、それ。そんな子供っぽい理由で…、」

「それが凡人の嫉妬なんだよ。ま、お前ら非凡人どもには、一生わかんねーだろうけどな?」

知った顔で頷く村田を、不服そうな顔で睨む。

「んな、顔すんなよ。そうやって、凡人どもは自分の弱い心を守ってんだよ。…こんな小さい、鬼殺隊っていう輪の中でさ、少しでも自分の存在が優位置に立てるよう、他のやつを陥れて、安心するんだよ。」

村田はそう言って、苦笑いを浮かべた後、「まぁ、一部の奴らの話だけどな?」と付け足した。

それを聞いて、錆兎は何とも言えない、複雑な表情で村田を見返した。納得出来ない気持ちは勿論ある。人を陥れてる暇があるんだったら、自分を磨け、とも思う。

でも村田の言ってることも、今なら少しわかる。

前は人を羨むことなんてなかった。だが最近は、得に音羽に関しては、錆兎も人に嫉妬してばかりだ。

「村田、流石は凡人代表だな。言葉に深みを感じた。」

「うっせーわっ!…非凡人に言われたら、切なくなるだろがっ!
…でも俺は、鬼殺隊に入った時から、お前らみたいな見た目も強さも人外の、バケモンどもに囲まれて、感覚ズレてきてるからよ。今更、優位に立つ気も起きねーけどなっ。」

そう言って、またもや陽気に笑う村田に釣られ、錆兎も笑った。

本当に強いのは、自分の弱点を知った上で陽気に振る舞える、村田のような男なのかもしれない。






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