第7章 同期達の証言
ー 鬼殺隊本部
義勇と別れた後、錆兎は報告の為に一人、鬼殺隊本部に訪れていた。
お館様への挨拶を兼ねた報告を終えた後、古傷の具合を診てもらう為に蝶屋敷へと向かう。その道すがら、錆兎は見覚えのある後ろ姿に遭遇した。
(お、あの後ろ姿……、村田か?)
同期の村田を見かけると、錆兎は気づかれないように静かに忍び寄り、
「む・ら・たぁ〜!!」
と、背後から首と片脇に腕を回し、そのまま身動きが取れないように拘束した。
「ぐえっ!…………さ、錆兎っ!?」
「村田、久しぶりだな。お前に会ったら、色々と言いたいことがあったんだよなっ!」
そう言って、首に回した腕に力を込めると、村田は苦しそうに錆兎の腕をパンパン叩いた。
「ま、待てっ!!落ちるっ、落ちるぅっ!!」
暫くの間絞めた後、落ちる寸前で手を離してやると、村田は苦しそうに咳き込みながら首元を抑え、涙目で錆兎を睨んだ。
「おいっ!久しぶりの挨拶にしては、乱暴過ぎるんじゃないかっ!?」
そう言って、詰め寄る村田を錆兎は冷ややかな眼で見下ろした。
「お前、よくも音羽にあることないこと、吹き込んでくれたな?」
「な、何のことだよっ!」
「俺が絶倫だの、女を取っ替え引っ替えしてるだの…、よくもそんな嘘八百を…、」
組んだ指を、ボキボキと鳴らして近づいてくる錆兎を制するように、村田が両手を前に出した。
「ま、待て待てっ!誤解があるっ、誤解があるぞっ!?俺が言ったのは、音柱のことだよっ!!」
「あ?」
錆兎の動きが止まったのを見て、村田は錆兎を押し戻すと、慌てて一連の出来事を説明しだした。
「任務帰りの飲みの席で、音柱の嫁が三人いるって話しになって、やっぱり柱になるような人は、あっちの方も体力無限大なんだろうな?って、言っただけだっ!」
「だったら何処で、俺が女を取っ替え引っ替えしてるっことになったんだよ。」
「そりゃあれだよ。…その流れで、柱は昔から、性欲も強い人が多かったみたいな話しになったんだよ。実際にいたらしくて、任務の後、遊郭通ってたり、行きずりの女の人と…、とかさ…、」