第5章 燃ゆる想ひを※
〜エピローグ
「音羽、そっちへ行ったぞ!」
「了解、任せて!」
一緒に任務に来ていた義勇に声を掛けられ、待ち構えていた音羽が刀を構える。
そして木々の間から、現れた鬼に向かい、技を………、
「っと、お先っ!」
突然現れた錆兎が鬼の頸を、横から掠め取った。
「錆兎っ!!またっ!?」
いきなり現れた錆兎に、音羽が食って掛かる。
「だからアンタ、いい加減にっ…、」
しかし錆兎は気にする様子もなく、音羽の前に着地すると、ずいっと顔を近づけた。
「音羽、今日も可愛いな。好きだぞ。」
「なっ!?」
驚いて固まる音羽の唇を、錆兎が掠め取るように奪う。唇を離すと、あわあわと口をパクパクさせる音羽に微笑みかけた。
それに満足すると、また鬼に向かって走り出す。
それを全て見ていた義勇が、音羽に近づいた。
「義勇、アイツ何とかしてよっ!」
「いや、アイツがこうなったら、誰にも止められないだろ?もう諦めろ。」
「そんなぁ〜!」
顔を真っ赤にして、叫びだす姿を見た義勇は、音羽が錆兎に負けて、素直になる日も近そうだ。と心の中で小さくそう思った。
ー 水鏡之人 第一幕 完
引き続き、続編をお楽しみください。