第5章 燃ゆる想ひを※
小屋の中を片付け、支度を整えると、錆兎は外に出た。そして、先に外に出ていた音羽に近づくと、その手を握って、ニコッと微笑んだ。
「さ、帰るか?」
「ちょっと、なんで手なんか握ってるのよ!」
「なんでって、俺たちはもう恋人同士だろ?」
「調子に乗らないでっ!アンタと噂になったら、また何を言われるか、わかんないじゃないっ!」
今度は色仕掛けで、水柱を誘惑した。とか、言われたら溜まったもんじゃない。音羽はそう思い、錆兎の手を振り払った。
その姿に錆兎は、不服そうに唇を尖らせた。
「……はぁ。昨日のお前は、あんなに可愛かったのにな。我を忘れて、乱れたと思ったら、可愛く啼いて。俺の名前呼びながら、ギュッと抱きついてきたりして…、」
その言葉に、音羽の眉毛がピクッと動いた。
「……その辺に、しておきなさいよ。」
下を向いたまま、静かに音羽が言葉を発する。そんな音羽の耳元に、錆兎は顔を寄せると小さな声で、そっと囁いた。
「……また、床の中じゃ、たっぷりと可愛がって、素直にさせてやるからな?」
錆兎が意地悪そうにニヤけなら言うと、音羽は唇をワナワナとさせて、錆兎を睨み付けて、大きく手を振りかぶった。
「あ、待てっ!!…済まない、ちょっと調子に……、」
パァンっ!
秋晴れの空に、小気味良い破裂音が響き渡った。
叩かれた頬を抑えて、錆兎は誓った。
いつか絶対に、素直にさせてやる!