第5章 燃ゆる想ひを※
「…やぁ、そんな…触ら…ないで…、」
音羽の身体が、快感から逃れようと、腰を浮かした。しかしそれを首元に回した錆兎の手が抑える。
「こら、逃げるな。」
「だって……、ぁ…だめっ…、そこ…そんな…されたら…、おかしくなっちゃうっ!」
「おかしくなればいい。…乱れたお前、見てみたい。」
「んっ…ぁっ!」
音羽は小さく声を上げると、その恥ずかしさに身体を傾け、錆兎の胸に顔を埋めて抱きついた。
「んぅ…、さび…と…、」
錆兎は音羽の頭を優しく撫でると、顔を近づけて、小さく囁いた。
「音羽、こっち見ろ。」
錆兎に言われ、音羽がゆっくりと顔を上げた。
汗ばんで、真っ赤に高揚した頬、かすかに涙で曇る瞳が、切なそうに錆兎を見つめる。
その瞬間、錆兎の頭に、何かに殴られたような衝撃が走った。
(なんだ、この可愛い生き物はっ!)
堪らずに、音羽の唇を慾る。
「んっんっ…、んんっ!」
夢中で唇を貪りながら、指先の動きを早めていくと、諦めたように快感に身を委ねた音羽の腰が艶めかしく揺れ始めた。
錆兎はチュッと音を立てて唇を離すと、優しく頬に口づける。
「お前、腰が揺れてる。…そんなにいいか?」
「もう、黙って……、あぁんっ!!」
いきなりグッと強く擦られ、思わず声が大きくなる。
「ぅう…、錆兎…もう…駄目っ…、」
「あぁ、イッていいぞ?」
優しく声を掛け、力を込めた指先の動きを早めていく。すると、音羽が一際大きな矯声を上げ、大きくのけ反った。
そのまま音羽は、力尽きたように横たわると、蕩けきった瞳で錆兎を見詰めた。その姿に堪らずに、錆兎がその身体を強く抱きしめる。
(本当にコイツ、可愛すぎるだろ。)