第5章 燃ゆる想ひを※
そう優しく問いかけられ、音羽は指の隙間から錆兎を見た。錆兎は微笑むと、その手を掴み、顔から引き剥がした。
「本当に怖いのか、もう一度、確認しないか?」
錆兎の顔が再び近づいてきて、音羽は覚悟を決めたように目を強く閉じた。
再度重ねられた唇が優しく音羽の唇を割り開き、その隙間を這うように舌が入り込む。ゆっくりと口内を動き、奥に閉じこもったままの音羽の舌を誘うように刺激してくると、音羽も恐る恐る舌を突き出した。
その舌先に、錆兎の舌が絡められる。
「んぅ…んっ…ぅ…、」
激しく舌を絡められ、何度も吸われると、次第に恐怖は和らぎ、体の芯が疼き始め、音羽は身体をモジモジと動かした。
(…何?身体が凄く熱い。)
ずっと強張ったままだった音羽の、緊張が解けたのがわかると、錆兎は最後にちゅっと音を立てて名残惜しげに唇を離した。
「このままずっと、してたいくらいだ。癖になりそうだな。」
そのまま音羽を見つめると、音羽は恥ずかしげに、顔を真っ赤にさせ横に背けた。
「そんなに無防備にして、いいのか?」
錆兎が顔を背けたことによって、露わになった音羽の首筋に優しく口づける。
舌を出し、尖らせた舌先を耳の下辺りから、ゆっくりと首元まで滑らせていくと、「っ…!」と、音羽が小さく息を吐き出し、身体を震わす。
その反応さえ、愛おしく感じながら、錆兎は舌先を鎖骨辺りまで滑らせ、そこに少し強めに吸い付いた。
「ちょっと、そんなところに…っ、」
チュクっと音を立てて、唇を離すと、白い肌に小さな赤い花が咲いていた。
「別に見えるところじゃないだろ?」
やっと自分の物になったと言う印を残し、錆兎は満足気に微笑むと、さらに下へと視線を送る。