第5章 燃ゆる想ひを※
「お前と…してる時だって、お前を真正面から抱きしめてみたい…その…柔らかい肌に触れたい…とか、その唇に吸い付いたら、気持ちいいのかな…とか、本当に俺、そんなことばっかり…考えてて……、」
そういいながら、錆兎は気まずそうに、音羽に苦笑いを向けた。
「で、気付いたら…、どうしようなく、好きになってた。もちろん、お前が俺を嫌いな事はわかってる。こんなこと急に言われても、キモいだけだよな?」
きっとコイツのことだから、「何言ってるの?頭でも可笑しいの?」とか、言うんだろうな。それでも…
「でもこれからは…、俺がお前にそんな感情を持ってるって、知っていて欲しいんだ。そして、少しづつでいい。俺に対して、心を開いてほしい。」
誠実さを感じる錆兎の言葉に、音羽は戸惑った表情を浮かべながら、小声で囁いた。
「……て……ない。」
「ん?」
「……嫌って…なんか…ないわ。」
「ほんとか!?」
思ってもなかった言葉に、錆兎の表情が、ぱっと明るくなった。
「だって…私…、こんなコト…、気持ちが…無かったら…、してない。……貴方だから……、」
「そうか、よかった!…俺、本当に嫌われてる…って、ずっと思ってたから。そうだよな、いくらお前だって、こんな大切なコト、そう簡単には、………ん?気持ち?」
錆兎の顔が固まった。音羽の言葉の意味を、頭の中で整理する。
自分の聞き間違いでなければ、それはそういう事でいいのか?
「……それは、どういう事だ?俺だから…って、………つまり俺に対して…そういう気持ちがあるってことか?」
錆兎の言葉に、音羽の顔がこれ以上ないほどに真っ赤に染まった。
(ん?…なんだ、この反応は……、)