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【鬼滅の刃】水鏡之人【錆兎】

第13章 潜入捜査・壱





少し気まずそうに視線を下げる錆兎に、清昌が言葉を続ける。

「中で休ませて欲しいとのことだったね?けど、済まない。今は屋敷の中が少し立てこんでてね。だから代わりに、うちの馬車で街まで送らせるよ」

「ありがとうございます。助かります」

素直に礼を述べて頭を下げると、錆兎はチラリと屋敷を囲う高い塀に視線を送る。

(義勇に情報を持っていってやりたかったが、今回は無理そうだな……)





馬車へと向かう途中、錆兎は木の上にいるであろう義勇に軽く視線を送った。おそらく会話は全て聞いていただろう。

後の事はすべて、今は義勇に任せるしかない。

錆兎はそう決めると音羽と二人、蘇芳家の馬車へと乗り込んだ。







…………
……………



蘇芳家の馬車に街まで送って貰ったあと、音羽と錆兎は歩いて水屋敷に帰った。その頃には時計の針は、二十一時を過ぎていた。

帰ると屋敷に明かりはなく、玄関も居間も暗闇に包まれていた。家を出た時にいた妙の姿はもうないようだった。

「妙さんは…帰ったみたいだな……」

居間の電気をつけながら錆兎が呟くと、音羽が「そうみたいね」と静かに答える。

そんな音羽の顔を、錆兎は横から見下ろした。

自分の元に戻ってきた時にも思ったが、やはり音羽の元気がない。

(アイツと話し合った後からだな……)

それまでアイツ…清昌とは、あんなに楽しそうに笑い合っていたと言うのに……

そんなに清昌との時間は楽しかったのか、別れたことが悲しかったのか?

(もしかしたら本当に、初恋の相手だったり…するのか?)

そんな余計な妄想が錆兎の頭を過り、胸に軽い苛立ちが募る。

「音羽…」

遠慮がちに名前を呼び、錆兎はその肩にそっと手を置いた。






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