第12章 二人だけの…
しかし、そのパーティが催されるようになった辺りから、この町では謎の失踪事件が相次いで起こる。それも対象者は、若い娘ばかり。
どの娘にも失踪する要因が見当たらず、関係者家族は途方に暮れた。
だが、つい最近の事。失踪した娘の一人が、失踪直前に該当の屋敷に入っていくのを見た、という目撃証言が飛び出し、屋敷は関与が疑われるようになるのだが…
「でも、相手は影響力のある大金持ち。私達貧乏人がどんなに騒ぎ立てても……ねぇ?」
行政はおろか、警察にさえ取り合って貰えず、それどころか目撃証言さえもあやふやな物とされ、被害者家族は不安と悲しみに明け暮れる日々を送っていると言う。
「ひどい…」
ご婦人方の話しを聞いて、思わず呟く音羽と目を合わせると、錆兎も同意するようにコクリと頷く。
「お二人共、ご協力有難うございました」
錆兎が笑顔で礼を述べると、ご婦人方はポッと顔を赤くして、笑顔を浮かべながら帰っていった。
二人が見えなくなると、音羽は冷ややかな目を錆兎に向けると「なんか詐欺師みたいね」と呟いた。
「なっ!…そりゃ、嘘は付いたけど、本当のこと言うわけに行かないだろ!?」
「そうね。……で、どうするの?」
「そうだな。今すぐにでも真相を調べに行きたいとこだが……」
これだけの話だと、人身売買の類も捨てきれないが、どのみち調べてみないことにはわからない。それにここまで聞いてしまったからには、放置なんて出来るわけがなかった。
しかし今は……