第12章 二人だけの…
「「おまたせ致しました!」」
「なっ!?」
「わぁぁ♡」
注文から暫くして、店員二人がかりで運ばれたパフェの姿に、錆兎は驚愕に目を見開き、音羽はこれでもかと思うほどに瞳を輝かせた。
巨大なすり鉢のようなガラスの器に盛られたパフェ。
その中身は、これでもかとアイスクリームや生クリーム、果物がてんこ盛りに盛られ、その周りをウエハウスやクッキーが囲い、一番上の中央には大きなカスタプリンが、そしてそれを囲むように大きなビスケットを重ねたケーキが3つほど載せられていた。
奥の厨房から出てきた瞬間から、店中の視線を集める姿はまさに富士山級。こんなのもう、大人数でシャレで食べるような代物だろ?
ドンッと音羽の前に置かれたが、顔がほぼ見えない。錆兎は覗き込むように音羽の顔を確認すると、問いかけた。
「お前、これを本当に一人で食べるのか?」
「うん。」
音羽がにっこりと微笑む。
しかも音羽は、何回か頼んでるとか言ってた気がする。この細い身体のどこにこんなのが入るというのか。
錆兎は疑問に思い、さらに問いかけた。
「お前、任務の途中でも握り飯一個か二個くらいしか、食べないよな?いつも少食だなって思っていたんだが、本当にこんなに入るのか?」
「私ね、甘いものはいくらでも入るの。」
音羽の顔が恥ずかしげにはにかむ。
「いつもは給料日や、鬼が手強くて頑張った時のご褒美としてしか食べないんだけど。だって甲って言っても、お給料は限られてるし、この仕事はいつどうなるかわからないから、貯蓄もしなきゃダメでしょ?…………でも、今日は、」
恥ずかしそうに錆兎を上目遣いに見つめると、ニコリと微笑んだ。
「柱が一緒だから♪」
………俺は、金ヅルか?
そんなことが頭を過ぎったが、すごく幸せそうな音羽の笑顔を見たら、どうでもよくなってくる。
「わかったよ。ほら、アイス溶けるぞ?早く食べろよ。」
「うん、頂きます!!」