第12章 二人だけの…
音羽が軽く頬を膨らませて、フンッとそっぽを向くと、錆兎は唇をワナワナと震わせた。
しかしここで引くのはなんか悔しい。いつかはこの意味を音羽にわからせてやりたい気持ちがひしひしと湧き上がってくる。
「いや、それでも指輪にするっ!」
「え、邪魔ーー!!」
「邪魔なら、この輪っかに紐に通して、首から下げればいいだろ!」
「あ、そっか。」
音羽が納得したような表情を浮かべる。
「でも何で、そんなに指輪がいいのよ?」
「なんでって……なんでもだよっ!意味くらい自分で調べてこいっ!」
ぶっきらぼうに言い放つ錆兎に、意味がわからないといったように首をひねると、音羽は手に持っていた品物を残念そうに見つめた。
「でも私、この柴犬の人形が付いた装飾品の方がよかった……、」
「いや、それはどうみてもいらないだろ?」
「なんで!?だって見て、赤柴も黒柴もいるのよ?可愛くない??」
そう言って、柴犬の人形を顔の横に掲げて、上目遣いに錆兎を見つめる。
「それにこの赤柴、なんか錆兎に似てて可愛いし。」
可愛く微笑んで赤柴を見詰める音羽に、錆兎の胸がドキリと跳ねる。
(いや…お前のほうが可愛いだろ。)
「ねぇ、だめ?」
さらに詰め寄り問いかけると、錆兎はその顔が直視出来ずに目を逸らした。
「……わかった、わかったから。それも纏めて買ってやるから、欲しい物好きなだけ持って来いよ。」
「ほんとっ!?」
結局、指輪と吊り下げる紐、その他に四種類の色違い柴犬の人形を買ってもらった音羽は、ニコニコ顔で錆兎と共に店を出た。
店を出ると錆兎は、飲食店などが立ち並ぶ繁華街の方へ視線を移した。
「さてと、次は甘味処だな。」
「甘味処!!」
甘い物と聞いて、音羽の身体がぴょこんと跳ねる。
「ねぇ、だったら私、行きたい所があるんだけど……、」