第12章 二人だけの…
そのあとも二人はハンカチーフや小物入れなど、揃いで持てるような物を見て回りながら、洋物の首飾りや指輪などが並ぶ売場までやってきた。
「首飾りやブローチなんかもいいかもね?」
そう言って、銀の細やかな細工の施されたブローチを手に取って見つめる音羽の横で、錆兎の視線は指輪に注がれていた。
(………指輪か。)
そういえば、聞いたことがある。西洋では婚姻関係を結ぶ男女は、永遠の愛の証として揃いの指輪を交換し、左手の薬指にはめるという。
(ということは、いつかは俺たちも……、)
ー 錆兎妄想タイム
錆「なぁ、音羽。揃いの品……指輪しないか?」
「え!?指輪?……錆兎…それって、」
驚きで目を見開く音羽の頬が、微かに赤く染まる。
錆「あぁ。……この意味が…わかるか?」
「本気で…言ってるの?」
錆「俺はいつだって本気だ。今はこんなおもちゃみたいな指輪だが……、だけどいつかは本物の指輪で、お前と永遠の愛を誓いたいと思ってる。」
「さ、錆兎……、」
錆「それまでお前の左手の薬指、俺が予約しておいていいか?」
感動で唇を震わせる音羽の瞳から、一筋の雫が流れ落ちる。
音羽はその雫を手の甲で拭うと、嬉しそうに微笑んでコクリと頷いた。
「……はい!…こんな私で良かったら、末永く宜しくお願いします!」
錆「俺がお前を、世界一幸せにしてやる。」
「錆兎、ありがとう!愛してるわ!」
錆「あぁ、音羽。俺もだぁっ!」
そして二人は、お互いを求めるように強く抱きしめあった。
(って、これだぁぁぁぁーーー!!)
錆兎は心の中で確信すると、音羽の顔を見た。