第12章 二人だけの…
音羽と錆兎はまず初めに、町屋の一角にあった輸入雑貨や装飾品などを取り扱う商店に入った。
「わぁ…可愛い。」
入った瞬間から、店の中を所狭しと並ぶ色とりどりの装飾品達が目に入り、可愛い小物や装飾品が好きな音羽はウットリと目を細めて周りを見渡した。
「へぇ…、結構色んなのがあるんだな。」
こういった店には、今までお世話になったことがない。初めて見る景色に錆兎も物珍しげな表情を浮かべる。
一頻り店の雰囲気を楽しむと、二人は自分達に合う品を探すべく、商品を一つ一つ見て回った。
「ねぇ、これは?」
色とりどりに組まれた組紐が並ぶ売り場で、紐を一つ手に取った音羽が錆兎に問いかける。
「それ、どうやって使うんだ?」
「髪結い紐とか?私も髪を半分上げてることも多いし、錆兎だって何か作業する時や今みたいな時に結んだりするでしょ?」
「んー、確かに結ぶ時もあるが、それだと身に着ける…とまではいかないな。俺は義勇と違って、毎日髪を結ぶわけじゃない。」
「でも、こうして短いのを輪っかにすれば手首に着けられる装飾品にもなるのよ?」
短い組紐を手に取って、軽く手に巻いて見せる。
「へぇ、それだったら戦う時に邪魔にならないな。」
「でしょ?…でも一つ欠点があるのよね。」
「ん?」
「切れた時に、相手に何かあったんじゃないかって…不安になると思うの。」
音羽の言葉に錆兎は少し考えると、「うん」と頷いた。
「縁起が悪いな。止めよう。」
「そうね。」
ただでさえ、物騒な職業なんだから、不安要素は取り除きたい。