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【鬼滅の刃】水鏡之人【錆兎】

第9章 水際の攻防





流石に隊員ごと、ぶっ飛ばすわけには行かない。

躊躇した天元をあざ笑うように、水の柱は括り付けられていた隊員ごと、目の前でぐるりと大きく旋回する。そしてその遠心力を使い、隊員を勢い良く放り投げてきた。

「うぉっ!!」

勢い良く突撃してきた鬼殺隊員を、慌てて受け止めると、その反動で天元は後ろに吹っ飛ぶ。



ドーンッ!!



大きな音を立てて、天元の大きな身体が、背後に聳え立つ凌雲閣の壁面へとめり込んだ。

砕けたレンガが、地上へパラパラと静かに落ちていく。

「くっそぉ…、痛ってぇー……、」

「す、すいませんっ、音柱っ!!」

思いがけず、天元に突進する羽目になったあげく、凌雲閣に突っ込むところを庇って貰った隊員が、身体を縮こませて謝る。

「たくっ…、男を抱くなんざ、趣味じゃねーっつのによ………、」

天元は小さく呟くと、額に青筋を浮かばせて、怒りを含んだ目で前を向くと、池の中央に立つ河童鬼を睨みつけた。


「上等じゃねーか、あのハゲ河童ぁっ!」


助けた隊員の首根っこを掴むと、勢い良く飛び上がる。そして瓢箪池の近くに着地すると、掴んだ隊員を建物の方へと放り投げた。


「宇髄さんっ!」


天元の存在に気づいた音羽が声をかけるが、それさえもシカトし、刀を構えると呼吸を整える。



 音の呼吸・伍ノ型……



「鳴弦奏々っ!!」

両手に持った刀を高速でブン回しながら、天元が瓢箪池の中に突撃した。





あとはもう一瞬だった。動き回る水の柱を根こそぎ破壊しながら、暴れ狂い、気づいた時には河童鬼の頸は、音羽の目の前に転がっていた。



消えゆく頸を見つめ、天元は呟いた。

「次に生まれ変われる事があったら、毛根に恵まれろよ。」

「あの…、なんか毛根にうるさくありませんか?」

「バカッ、男にとっては死活問題なんだぞ!」

熱を込めて言い張る天元に、音羽が冷たい目で見る。

「…あっ…そうですか。……それより、これ、」

音羽が六区に起こった惨状と、破壊された凌雲閣、びしょ濡れに濡れた自分の姿を見渡し、ため息をついた。

「最初から少しでも本気出してくれれば、一瞬で終わったんじゃ?」

音羽は恨めしそうに小さくそう呟くと、事後処理部隊を呼んで、事後処理を始めたのだった。






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