第9章 水際の攻防
そのまま地面に着地すると、振り向いて、追ってくる水の柱を真正面から見据える。
音の呼吸・壱ノ型 轟
頭上から勢い良く振り下ろした二本の刀を叩きつけた。
ドオンっ!!
その瞬間、ド派手な爆発と共に周囲に激しい水しぶきが立ち上がる。
「うぁっ、冷てっ!!」
秋も深まった池の水を全身に浴びて、天元も思わず、声を上げる。
水を操るなんて、ド派手でカッコいいが、真冬はご遠慮頂きたいな。などと呑気に考えていると、突然両側から殺気を感じ、天元はその場に飛び上がった。
すると、両側から襲ってきた水が天元の下で激しくぶつかり合い、爆散する。
「たく、あぶねーな。」
すぐ横に着地するとそこに間髪入れずに、何本もの水柱が四方八方から、まるで天元を狙い撃ちするように、次々と襲いかかってきた。
天元は襲ってくる水を、避けては斬り込み、爆散させては斬り込んでいく。こんなもんもう、埒が明かない。
「だあぁー、めんどくせーっ、!何で俺だけ数が多いんだぁ!」
天元はそう叫ぶと、敵の攻撃を掻い潜るように、駆け出した。
※柱なので、警戒されてます。
その頃、捕まった隊員達を助けようと走り出す音羽はチラリと天元に視線を送った。
(宇髄さん、さすが柱だわ。あんな沢山の攻撃を一身に受けて、囮になってくれてるのね。だったら、私は……、)
その分、多くの隊員達を助けなくては……、
そう勝手に勘違いすると、決意を胸に池の淵へと近づく。
すると音羽に向かい、またもや水の攻撃が襲ってくる。それを華麗に避けると、池の周りに張り巡らされた鎖同士を繋ぐ、石の柱に足を掛けた。