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【鬼滅の刃】水鏡之人【錆兎】

第9章 水際の攻防





音羽は駆け抜けながら、周りの状況を確認した。戦場と化した六区の大通りは、案の定、逃げ惑う隊士達で混乱していた。

まるで水龍のように暴れ狂う池の水に、一人の隊員は突撃され、後ろの建物まで吹っ飛び、または手のように変形した水に捕まり、持ち上げられ、周囲には隊員達で出来た何本もの人柱が出来上がっていた。

(まずいわ、こんなのに手こずってる場合じゃない。)

音羽は大きく飛んで、近場の木に飛び乗ったかと思えば、水をギリギリまで惹きつけ、直前で飛び退き、地面に着地する。

しかし、水の勢いは止まらない。木に打つかる寸前に、ぐにゃりと方向を転換すると音羽に向かってくる。

「もう、しつこいわねっ!」

音羽は再び走り出しながら、刀に手をかけた。


水って斬れるのかな?なんか一歩間違えたら、先程の様に枝分かれし、数が増えてエライことになりそうな予感もする。斬るなら、根元辺りを横薙ぎに断ち切った方が得策かもしれない。


そう思い、音羽は地面を蹴り上げると建物の壁に飛び乗った。そのまま一気に壁を駆け上がり、屋上まで到達すると、追い掛けてくる水が到達したのと同時に、縁を蹴り上げ、背面飛びで一回転しながら急降下し、水の側面へと躍り出る。


 雷の呼吸・壱ノ型……霹靂一閃!


水の柱に横薙ぎに刀で斬り込む。すると、斬られた水は元の水に戻ったかのように力をなくし、爆散して、地面へと降り注いだ。


「きゃ、冷たっ!」


もちろん、音羽の上にも。


これ、戦闘が終わったら、風邪引いてるんじゃない?

そんな不安を抱えながら、音羽は振り向くと、捕まった隊員に向かって、走り出した。







一方、音羽と反対側に飛んだ天元は、飛びながら背中に背負っている二つの刀に手を掛けた。すると刀を覆っていたサラシが斬れ、鎖に繋がれた二対の大刀が姿を表した。







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