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【鬼滅の刃】水鏡之人【錆兎】

第9章 水際の攻防





「たくっ、お前ら、何してんだ。」

すぐ後ろから聞こえる声。音羽が慌てて後ろに振り向くと、そこには呆れた顔の天元が立っていた。

どうやら音羽は、天元の胸に打つかったようだった。

「お、音柱っ!!」

驚く音羽がちらりと視線を向けた右手、その右手には縄が握られていた。

「こんなに男どもが揃ってて、鬼一匹も釣り上げられねーとは情けねーな!……ほらよっと!」

天元が軽々と縄を引くと、縄が撓って宙を舞い、沈んだ音羽ちゃん人形が水面から飛び出してきた。それと一緒に飛び出して来たのは、人形に纏わりつく一匹の黒い影。

ソレは音羽ちゃん人形諸共、ドサッと重たい音を立てて、乾いた地面の上に転がった。

大勢の鬼殺隊員達が固唾を呑んで見守る中、ソイツがゆっくりと立ち上がった。やがて通りの街灯に照らされて、その姿が音羽達の目に映し出される。

すると……、


「え?えぇっ!?」


驚きの余り、音羽が素っ頓狂な声を上げて、大きく目を見開いた。

「嘘、まさか…アレって……、」

何処かで見たことのあるような、既視感のある見た目。

ソレは、音羽が幼い頃から、本や絵本などでよく見掛けた、あの伝承の生き物と酷似していて、音羽は思わず、興奮したように叫んだ。


「宇髄さん、大変です!…み、見てください、……かっぱ、河童ですよっ!」


音羽が指をさすと、隣りにいた天元は突然「ブッ!?」っと、ド派手に吹き出した。




それもそのはず、音羽達の目の前に現れた、その鬼の姿とは……、


街灯に照らされて、薄っすらと浮かぶ、痩せ細った身体。その背骨は折れ曲がり、身に纏っているボロ雑巾の様な衣服からはみ出した手足は異様に細長く…、
その手足の指と指の間には、水の中で暮らしているうちに進化したのか、水掻きの様な物までついていた。

しかし、特出すべきは首から上の方だろうか?







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