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【鬼滅の刃】水鏡之人【錆兎】

第8章 音柱の任務と蝶屋敷の女主人





「そこで、この『音羽ちゃん人形』の出番だ!」

天元が音羽から救出され、今は隠の一人が抱えてる人形に、ピシッと指を指した。

「鬼が罠に掛かりゃ、恐らく音羽ちゃん人形も水中へと引き込まれるはずだ。だから音羽ちゃん人形には、刀鍛冶の里特注の、この縄を取り付ける。」

そう言って、天元が持っていた縄の束をチラつかせる。とうやら細く伸ばして鍛えた鉄を編み込んでいるようで、強度が強いらしい。

「で、音羽ちゃん人形が引き込まれる瞬間を狙って、全員全集中で縄を引き、反対に鬼を釣り上げるって寸法だっ!」

「そんなに上手く行きますか?それと…音柱、その名称、いい加減に変えてもらっていいですか?不快極まりないんですけど。」

得意げに作戦を伝える天元に、横から音羽が茶々を入れる。勝手に定着してるが、本人の許可も得て欲しい。

「あ?名称なんて、なんでもいいだろ?」

サラッと真顔で答えた天元に、音羽の額に軽く青筋が浮かんだ。

何でもいいのなら、変えてくれればいいじゃない?と思いつつ、錆兎なら言い返しも出来たが、流石に他の柱は上司だからと堪える。




「とまぁ、作戦はそんな感じだ。だいぶ準備も進んだし、設置や周辺の通りの封鎖は隠達に任せて、お前達は夜の狩りに向けて、休んでいいぞ?」

他に数名いる隊士と音羽に向けて、天元がそう告げると、隊士達は思い思いに散っていった。

音羽も隊が用意してくれた宿に戻って休息を取るか、それともこの甘味処の町で糖分を補給するか、と迷いながら踵を返す。

その背中に、天元が声を掛けた。

「音羽、お前さ。特にすることもねーなら、俺と飯でも食いに行かねーか?奢ってやるよ。」

「え?」

天元の突然の誘いに戸惑った顔を見せる。音羽も隊に身を置いてそれなりに経つから、天元とは柱になる前からの顔見知りだ。だが、そんな誘いを受けたのは初めてだった。

真意は測りかねるが、柱に奢って貰えるなら、美味しそうな物を奢って貰えそうな気がする。

音羽は軽く頷くと、天元の後を付いていった。






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