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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


(くー――――――!どこかの誰かさん並みに憎たらしいっ)


憤慨しつつ、意地悪くて交渉上手なあの人ならどうするだろうと考えた。


「……では、2人で1反いただきます。
 3反いただくには6人やらなくてはいけませんが、私は5人しか耳掃除をしておりません。
 まさか2反と半分などという中途半端なことはしませんよね」


目が合い、バチっと火花が散った気がした。

わずかな沈黙ののち、兼続さんは諦めたように息を吐いた。


兼続「俺は忙しいんだ。適当にやれ」

「え、いいんですかっ!?やったー-!
 じゃあ早速用意しますね」


手の平を返していそいそと準備する私を、兼続さんが目を丸くして見ている。


兼続「お前……随分嬉しそうだな」

「だって、信玄様と二人きりに戸惑っていた時は交渉してくれたし、虫が出た時の悲鳴にも気づいてくれたでしょう?
 クナイのところまで親切に案内してくれたし、宴では裏方してくださいました。
 一番お世話になったのに何もお礼できていないのが心残りだったんです。
 はいっ、準備できました。ここに寝転んでくださいね」


膝をポンポンと叩くと、兼続さんが複雑な表情をしながら寝転んだ。


「わ、兼続さんからお花の香りがする。
 いい男は香りまでいいんですね~♪」


いい匂いすぎてつい『いい男』だと本音をこぼしたことに気づかず、鼻をスンスン動かした。


兼続「……忙しいんだからさっさとやれ」

「もう、最後までツンなんだから」

兼続「ツン?」

「教えません」


やっとのことで勝ち取った耳掃除権だったけど、兼続さんはまったくの無反応で面白くなかった。

眉間に皺をよせるでもなく息を吐くでもなく、ピクリとも動かないから一瞬死んでるんじゃないかって思ったくらいだ。


(うーん、無反応だとつまんないなぁ)


身体の向きを変えてもらい、兼続さんは私のお腹の方を向いて寝転んでいる。


「……」


スマホで撮りたくなるほど綺麗な顔に目を奪われ…ニヤリと笑った。

必〇仕事人のように耳かき棒をクルリと反転させて梵天を下に向けた。

頭の中にはあのテーマ曲が『ちゃらら~ん♪』と流れ、私はそれをブスッ


……とはせずに、兼続さんの耳たぶをコチョコチョとくすぐった。


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