第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)
「返事した!?うわぁ~可愛い!
忍者のペットだから言葉もわかるのかなぁ」
兼続「……」
(…この温い視線は、絶対『こいつ馬鹿だ』と思ってるっ!)
口で勝てるものなら喧嘩をふっかけるところだけど、勝ち目のない戦はしたくない。
兼続「ふん、お前は負け戦をしない質か」
「っ、相手や状況を見て対応を変えてますから、そうとは限りません」
『兼続さんこそ私の耳掃除を断ったくらいですから負け戦をしないタイプですよね?』という台詞は辛うじて抑えた。
これを言ったら本当に関係に亀裂が入るような気がした。
親しい安土の武将達ならまだしも、何でこの人は私の内側を見透かすんだろう。
憎たらしいのでツンと横を向いてやった。
「そろそろ行きましょうか。連れて来てくださってありがとうございました。
クナイも一緒に行く?それともここで遊んでる?」
落ち着かないから早くここを去って誰かと合流しよう。
クナイは肩にちょこんと座りこんだから、これは一緒に行くということだろう。
私は可愛い連れを伴って、部屋に向かったのだった。