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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


凄く人慣れしている様子で、しゃがんだ兼続さんの手に飛び乗り、そのまま腕をつたって肩に座った。


「わあ………っ!可愛い~~~~」


私の黄色い声に反応して、苦無は兼続さんの左肩から右肩へと移動してしまった。

身体と同じくらい大きさのある尻尾が兼続さんの襟足をくすぐっている。


兼続「クナイ。佐助の友だ、怖くない」

「大きな声出してごめんね。クナイ」


クナイを追いかけて兼続さんの右側に行くと、またするりと左肩へ移動してしまってスキンシップが叶わない。


兼続「ちょろちょろと動き回って、どちらがリスなんだか」

「えーえー、そうですね。リスでも狸でも、なんとでも言ってください」


人の嫌味を聞くより今は限られた時間内でクナイと触れ合いたい。


(どうせ兼続さんに口で勝てないってわかったし!
 いい人そうだけどツンとくるならこっちだってツンだ)


妙な意地を張ってツンと可愛くない対応をとった。

佐助君が良い人だって言っていたから絶対その通りのはずなのに。

その『良い人』から何故か意地悪されて勝手に傷ついて、嫌な態度をとってしまった。

本当はこの人と仲良くなりたいのに。


(現代みたく誰彼かまわず友達になりたいっていうのは甘いのかな…)


ここは戦国時代で私は敵側の人間だからと理由をつけて、兼続さんの意地悪の原因が私個人にはないと否定したかった。


兼続「はぁ、このままじゃ埒(らち)が明かないな。
 こら、クナイ。舞と遊ぶのはそのくらいにして挨拶しろ」

「私、遊ばれてたんですか?」

兼続「気づいていなかったのか」


兼続さんが肩を歩くクナイを鷲掴み、私の肩に乗せた。

軽い重みがかかり、慣れない道を慎重にクナイが歩き始めた。耳にふわふわとした毛があたってくすぐったい。


「ふふっ、クナイって柔らかいんだね。
 いつもクナイのご主人様にはお世話になってるんだよ。あまり会いに来られないけどよろしくね」


クナイはくりんとした黒い目で私を観察し『キキッ!』と返事をした。


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