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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


————

兼続「結局お前が紛らわしく書いたのが原因か」

「はい、そのようです。すみません」


謙信様を追いかけてやってきたのは兼続さんだった。

佐助君のからくり部屋に1人でいるのは危険だと言われて、さっき昼寝をしたけどなと思いながら部屋を出た。

謙信様が用意してくれた部屋にもどる途中『そういえば佐助君のクナイに会えなかったな』とぼやいたら、急に方向転換された。

とある場所で足を止め、使用人の人達が使う共有の履物を出されて庭におりた。


「あの……?」

兼続「早く来い、クナイはよくこの辺りで遊んでいる」

「え…?」

兼続「なんだ?見なくていいなら部屋に行くが」

「いいえ、見たいです!」


あとをついて歩きながら広い背中を見つめた。

クナイの遊び場を知っているってことは佐助君と仲が良いんだろうなとか、私のつまんないぼやきなんて聞き流せばいいのに親切だなとかぼんやり考えた。


(意地悪だけど物凄く親切な人なんじゃ……?)


ひとつの結論が出たときにため息を吐かれた。家康を思い出すくらいに大きい。


兼続「背中に穴が開きそうなんだが」

「すみません、失礼しました」

兼続「ほら、クナイはあそこだ」


兼続さんが指さしたのは松の木だった。

古い松の木は大きくくねらせながら枝を伸ばしていて、そこをチョロチョロと歩く影が見えた。


「あれがクナイですか?ん~遠くてよく見えないな。
 佐助君が呼べば来てくれたのかなぁ…」

兼続「クナイ」


私が呼んでも来てくれないだろうと諦めていたら、兼続さんが静かに名を呼んだ。

高くもなく低くもない心地良い声だった。

枝の向こうにひょこっと小さな頭が見えて、すぐさま小さな影が近づいてくる。


「わぁ、茶色なんだ」


素直に感想を言ったら、スンとした顔で「リスだからな」と馬鹿にされた。


(くっ、言葉がイチイチ刺さるっ)


ズキズキと胸を痛ませているうちに、クナイが傍にやってきた。


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