第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)
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「え?無自覚に色気を振りまいて女性にもてるの?」
佐助「そうだ。義元さんにその気は全然ないんだけど、女性が勝手にひきよせられるんだ」
「そっかぁ、じゃあ信玄様みたいに積極的に女性に絡むタイプじゃないんだね。
どうりでぐいぐい来なかったわけだ。まぁ、そうされても困っちゃうだけなんだけどさ、葉っぱの中にお肉が隠れてた、みたいな感じでびっくりしたんだから!」
佐助「斬新な物の例えだな。『義元さんは安全だけど色気があるから注意して』くらいに言えば良かったね。ごめん、説明不足だった」
「ふっ…、あはは!そうだね、そのくらい言ってくれれば心構えできたかも!」
私は佐助君の部屋で休憩をしていた。
休みという休みを与えられないうちに耳掃除をすることになったので、佐助君が気を利かせて部屋につれてきてくれた。
もちろん謙信様が大騒ぎするかもしれないので、私の部屋には『佐助君のからくり部屋と苦無を見に行ってきます』と書置きしてきた。
お昼寝用布団と枕まで用意してあって、かなり疲れていた私は30分程お昼寝させてもらった。
モーニングティーみたいに起き抜けに濃い緑茶を出され、頭がシャキッとしたところで義元さんのことを話し、今に至る。
「ごちそうさま。やっと人心地ついたよ、ありがとう佐助君!
最後になっちゃったけど耳掃除はいかがでしょうか?」
兼続さんには断られたから佐助君で最後だ。ふざけた口調で誘うと佐助君がいいねと答えて眼鏡をとった。
「眼鏡のない佐助君って別人みたい。あははっ、しかもこっちを見てるのに視線が合わないっておかしいよねっ。手、繋いでるからゆっくりこっちに来て寝転んでね」
佐助「ふっ、ありがとう。君の所に行ってから眼鏡をとるべきだったな」
「いいよ、いいよ。さ、どうぞ」
膝にポフっと頭が乗って、眼鏡なしの佐助君が私を見上げてきた。