第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)
え、え、とぉ…と言葉を間延びしているうちに自分の仕様を切り替えた。
佐助君や幸村と話す時の私ではなく、信玄様仕様にチェンジだ。
「ではもう片方も蕩けさせてあげますね。
さ、目を閉じてください」
義元「ん……」
幸村の前で言ったら絶対吹かれるようなことを言って、義元さんの頭にそうっと触れた。
カリカリ……
義元「んっ!」
(ここ気持ちがいいのかな)
カリカリ…
自重しているのか動きはしないけれど吐息混じりの呻き声は非常にいやらしい。
義元「棒1本でここまで気持ち良くできるなんて職人技だ。
君と恋仲になったら好きな時にこれをしてもらえるんだよね。羨ましいな」
「え?ふふっ、今は恋仲募集中なんです。
だーれも相手にしてもらえなかったら義元さんに相手してもらおうかなぁ」
義元さんみたいに綺麗な人と付き合ったら不釣り合いもいいところだけど、今は大人仕様の私なので、こんな軽口もお手の物だ。
義元「そう?君が気づいていないだけで狙っている男はたくさん居るみたいだけど。
そのまま気づかないことを祈って、少し待ってみようかな…」
義元さんの瞼が緩やかに落ちて、その後は好きなように耳掃除させてくれた。