第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)
「こことか気持ちいいですよね」
信玄「ん………」
「この辺はどうですか…?」
少し場所を変えると信玄様が一瞬息をとめた。そうして誰にも聞こえない大きさでフッと笑ったのだった。
信玄「君が触れる場所はどこも気持ちいい。信長がこれを禁じたのがわかる気がするよ。
可愛い姫にこんなところを愛撫されたらどんな男でも陥落するだろうな」
(耳掃除が愛撫になってるっ!!)
「あ、愛撫ってそんな…500年後では誰もがしてるフツーのことですっ」
信玄「ははっ、そんなに動揺しなくてもいいさ」
「ふんっ!大げさに言うからですっ」
片方の耳掃除を終えて、信玄様がこちらを向いて寝直した。
膝枕なんてお手の物と言った感じで、私を仰ぎ見る目には余裕があった。
幸村みたいにそわそわしてくれれば可愛いのだけど、こうも余裕で見つめられるとこっちがドキドキしてくる。
信玄様はただ見つめてくるだけなのに妙に落ち着かなくて、手からポロリと耳かき棒が落ちてしまった。
「あ!耳かきを落としてしまったので失礼しますね」
大きな体の向こう側に消えた耳かき棒を探して手探ったけれど、なかなか見つからない。
「あれ、ないなぁ…こっち?…んん???」
あちこち手探りしているうちに、堪えきれないといった感じで信玄様が身体を震わせ始めた。
信玄「ふっ……」
笑われるようなことをした覚えがなくて、一体どうしたんだろうと見れば信玄様は涙を浮かべて笑っていた。
(こんなに笑われるなんて、私、何をしでかしたんだろう)
「えぇと?何か私しましたか?」
信玄「姫は耳かきをとろうとして、どうやった?もう一度やってごらん」
「それは、こうして…」
信玄様の背中側。私の膝の方に手を伸ばすと自然と前かがみになる。
その結果…
ぽふっ