第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)
「だって私の居た時代だと朝派、夜派で分かれてるし、汚れた時は飛び入りで真昼間に入る人だって居るんだよ。
うーん、お風呂じゃなければ時期的に少し早いけど水浴びとか…?」
幸村「水浴びってお前なぁ、そんなガキじゃねえよ。
耳ん中が濡れてるなら、村正の体を洗ってやった時に水が跳ねたんだろ。
あいつ、熊に見間違えられるくらい泥まみれになってたから、朝、川に連れて行って洗ってやったんだ」
「原因はそれだぁ」
幸村「あからさまに残念そうな顔すんなよ」
「耳が湿ってたら掃除ができないんだもん、仕方ないでしょ。
でも幸村って優しいんだね。村正を洗ってあげてる姿を想像しちゃったら、胸がキュンとしちゃった」
幸村「きゅんってなんだ?」
「まあ、それは置いといて幸村はできないから…」
幸村は置いとくなよ!と抗議していたけどできないものは仕方ない。
信玄様に視線を移そうとして、目の前にイキナリ綿棒が差し出された。
佐助「待って。このままじゃ幸村がかわいそうだから、これで掃除をしてあげて欲しい」
「あ、これならいけそうだね!」
綿棒は佐助君用にストックしてあったそうで、ありがたく数本使わせてもらうことにした。
幸村「な、なんだ?それも耳掃除に使う道具なのか?」
突然現れた見慣れない綿棒に幸村がビビっている(ように見えた)。
「うん、これは耳が湿っている人には最適の道具だよ。じゃあ、静かにしててよ~~」
幸村「お、おう……」
びびり気味の幸村から緊張が伝わってくるけれど、耳かきに比べて綿棒での掃除は簡単だ。
耳壁に当て、こそげるようにくるりと回すだけだ。
そっと引き抜いた綿棒は……