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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


「私相手にムキになる必要ないんじゃないですか?
 じゃあ本当に兼続さんが負けるかどうか試してみましょうよ」


その手には乗らないと小馬鹿にしたように鼻で笑われた。


(徹底しているな、この人)


きっちりとした身なりと同様に会話のどこにも隙がない。


(謙信様と一緒に居る時と別人すぎじゃない?)


あの控えめで誠実な態度はどこへいったのか。

パチパチと視線を合わせていると部屋を訪ねてきた人達が居た。


幸村「よお、舞。山を散策中に越後に連れてこられたんだってな。
 謙信様の我儘に毎回付き合う必要はないんだぞ?」


部屋の雰囲気なんて一切気にせず話しかけてくれる幸村と、幸村の後ろに居る佐助君の姿に肩から力抜けた。

まだ兼続さんが居るから緊張はあるけど、気心の知れた二人が部屋に来てくれただけで十分気持ちがほぐれた。


「幸村、久しぶりだね。
 佐助君も着替えとか色々気を使ってもらってありがとう」

佐助「どういたしまして。だけど謙信様を足止めできなくて、ごめん。
 休憩中だって言ったんだけど、強引に部屋を出て行ってしまったんだ」

「ふふ、でもそのおかげで謙信様を一番に耳掃除できたよ」


着替えろと言われた件は端折って説明すると、佐助君は眉を下げながら幸村と兼続さんの間に座った。


佐助「それは良かった。
 誰かを先にやってしまったら謙信様は臍を曲げたかもしれないから」

「あの様子ならわかるー!」


(着物の事といい、意にそぐわないことをしたら怒りそう……)


私と幸村は納得して大きく頷き、でも兼続さんだけは違った。


兼続「謙信様のことを順番が待てない幼子のように言うな」

「うーん…?」

幸村「あの人はそうだろ……」

佐助「ところで謙信様のことはさておき、兼続さんは耳掃除をしてもらったんですか?」


意見の食い違いで微妙になりつつあった雰囲気を、佐助君はあっさり脇に押しやった。

さすが日頃から春日山に居るだけあって手慣れている。


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