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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


兼続「堅苦しい呼び方をしなくていい。
 佐助が無理に連れてきたんだろう。謝る必要はない」

「では兼続さんとお呼びしますね。
 一応敵方の陣営の人間なので、急にあがりこんで良かったのか心配なのですが…」

兼続「普段のお前を知っていれば下心など無いことは容易に知れる」


(直接話したことないけど害のある人間じゃないって思われているのかな)


畳みについていた手を膝に戻し、ホッと肩の力を抜いたところで兼続さんの目が鋭く光った。


(あれ?なんか不穏な目つき…)


私の着物を睨む目に既視感を覚えた。


兼続「その着物を脱げ」


(またそれ!?)


「さっき着替えたばかりなんですが……」


語尾を濁してソフトに『嫌だ』と伝える。


兼続「謙信様がお前に用意していた着物がある。
 そっちに着替えろ」


(兼続さんは謙信様至上主義だって聞いていたけど本当だった!)


有無を言わせない口調はどこか謙信様に似ている。


(洋服じゃないんだし着物を何回も着替えるの面倒なんだってば、わかってよもう…)


とは言えず言い訳を考えた。

繰り返される着物の件に、ほとほと気が滅入る。


(信長様と秀吉さんは性格が全く違う主従だけど、謙信様と兼続さんは思考が似てるんだな…)


急に安土の主従を思い出してしまい、私のことで心配をかけていないかと気になった。

それでも感傷に浸っている場合じゃないと、もっともな理由を引っぱってきて説得を試みた。


「今は長旅の後で埃だらけなんです。今、湯殿の準備をしているそうなので身を清めてから謙信様の着物を着たいと思っています。
 せっかく用意してくれたのですから、それを着て宴に参加したいです」


(これでもまだ脱げって言うかな)


胸の内で挑戦めいた笑いをあげていると正面から静かに見返された。


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