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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


――――

耳掃除が終わった謙信様はウサギでも愛でるかのように頭を撫でてくれた。


謙信「このままかまい倒したいところだが、この後予定が入っている。
 夜に歓迎の宴を用意している故、それまで好きに過ごせ」

「はい、ありがとうございます」


かまい倒されたらキュン死しそうだったから『助かった』と思っていると、襖の向こうで人の気配を感じた。


家臣「御屋形様、そろそろ…」


謙信様は立ち上がって私の方を見た。

髪も着物も、ついさっきまで寝転んでいたとは思えない綺麗なたたずまいだ。
元が良い人はちょっとした乱れなんて見えなくなるから不思議だ。


謙信「疲れているだろう。好きに過ごせとは言ったが、城内とせいぜい庭くらいにしておけ。
 夜の宴はお前のためのものだが眠気を感じたら部屋に下がってかまわない」

「せっかく催してくださるのですから、なるべく長くご一緒できるようにいたします。
 楽しみにしておりますね」

謙信「俺も楽しみにしている。つまらぬ事はさっさと片付けてくるとしよう。
 いってくる」


謙信様は満足げに頷いて行ってしまった。

『部屋を用意していた』『着物を脱げ』と短気を起こしていた人とは思えない思いやりのある言葉だった。


(佐助君や幸村から聞いていたよりも怖くなかったかも…?)


二人きりの時間を過ごした後に残ったのは妙に甘い雰囲気だけで、心の中であんなに助けを求めなくても全然大丈夫だった。


「もしかして他の人も意外とすんなり話せたりして…」


謙信様以外にもあまり親しくないからと一方的なイメージを持っている人達が居る。

せっかく越後くんだりまで来たんだから未攻略の方々と交流を持ってみよう。


「えぇと、好きにして良いって言われたけどどうしようかな」


甘い余韻を振り切るようにして独り言をつぶやいた。


「休憩が休憩じゃなくなったから、もう少しここで休もうか?
 うーん、それとも春日山城を探検して歩こうか?迷うなぁ」


しばらく考えて、やっぱり宴に備えて休む方を優先させようと決めた頃、襖の向こうから声を掛けられた。

さっきお世話をしてくれた女中さんの声だ。


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