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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


――――

信玄様は『せっかくだから姫と二人きりにしてやるよ』と部屋を出て行った。

陽だまりのような信玄様が居なくなっただけで部屋の温度が5度くらい下がった気がする。

謙信様の地雷がよくわからないから、些細な会話で機嫌を損ねてしまったらと思うと不安で仕方がない。


(うぅ、信玄様にずっと居て欲しかった。
 佐助君は戻ってこないのかな)


謙信様特有の冷えを感じながら膝に誘う。


「耳掃除をしますので、ここに寝転んでもらえますか?」

謙信「なに…?」


膝を軽く叩いた私の動作に、謙信様の眉間にくっきりと皺が寄った。


(う、いちいち怖いよ~~。
 助けて、佐助君、信玄様~~~!)


そういえば信長様や秀吉さんが『越後の龍は女嫌いだ』って言っていたのを、たったいま思い出した。


(私のバカ…。女嫌いの人に膝枕を強要するなんて、そりゃあ怒るよね)


気を取り直して畳をポンポンと叩いた。


「すみません。膝枕ではなく畳でかまいません。
 要は寝転んで欲しいだけなので」

謙信「安土の連中には膝枕をしてやったのだろう?
 ならば俺もそれで良い」


何故か不機嫌オーラを再噴出させ、謙信様が立ちあがった。

座布団を何枚か貸してもらい、謙信様が寝転んでも痛くないように並べた。


(こんな不機嫌な人の耳掃除できるかな)


不安すぎる。


「ではどうぞ?」

謙信「ああ」


謙信様はおもむろに寝転んで私の膝に頭を乗せた。不機嫌そうな割に頭の乗せ方はゆっくりだ。

気遣ってもらえたのは嬉しいけど……仰向けに寝られて困った。


(なんで仰向け?)


政宗みたいに悪戯心でした訳ではなさそうで、頭の位置を微妙にずらして心持ち口の端っこが上がっている。

少しくつろいでいるような気がするのは気のせいか…。


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