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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


謙信「その着物は佐助が用意したものだろう?
 不愉快だ、さっさと脱げ」


(なんで佐助君が用意したものを着たら不愉快なの?
 やっぱり横暴な人なのかな…)


多少ビビりながらも、話せばわかってくれるかもしれないと正当性を主張した。


「佐助君が選んだかはわかりませんが、たったいま着付けが済んだところです。
 それにこれを脱いだら着るものがありません」

謙信「この俺が脱げと言っているんだ。早く脱げ」


はりつめた空気に女中さんはスッカリ怯えてしまい、『舞様…』と小声で促してきた。


「でも……」


(この反応……脱がなきゃ駄目なの?)


女中さんに目で訴えるけれど、女中さんは謙信様の命令に絶対なようで、こくこくと頷いている。


(めんどくさいなぁ…)


しかも脱ぐのは良いとして、目の前に謙信様が居ると脱げない。
それなのに謙信様は一向に部屋を出て行こうとはしなかった。


(目の前で脱げってこと?佐助君にパワハラで、私にはセクハラ?
 佐助君…ウルトラ級のヘルプが欲しいですけど…!)


まさか謙信様と顔を合わせて早々こんなことになるとは思わず、物につられてホイホイ来るんじゃなかったと後悔した。


謙信「……」

「……」


女中さん達が息をのんで見守る中、私と謙信様は静かに睨み合っていた。


(女子から着るもの取り上げるなんてどうかしてるよ。
 しかもなんで人前脱がなきゃいけないのよ、絶対ヤダ!)


お互いに譲らずに睨み合っていると、謙信様の背後にぬうっと大きな影が現れた。

少し間延びした柔らかい声が緊迫した空気を打ち破った。


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