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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


――――

佐助「お疲れ様。謙信様が首を長くして待っているだろうから、このまま会いに行こう」


着いたそのまま謙信様のところに連れて行かれそうになり、私は佐助君に泣きついた。


「ギブギブ~~~。安土から越後まで馬で来たんだよ?しかもほぼ徹夜で!
 足腰ガタガタだよ。このまま耳掃除なんてしたら、手が震えて間違って耳かきを刺しちゃうかもしれない。お願いだから休ませてっ……!」


女中さんが出してくれたお茶を持つ手が疲労で震え、表面が波打っている。


「ほら見てよ。湯のみ茶碗が唇に当たる前に、お茶がこぼちゃいそうだよ!」


まだまだ体力あります!という佐助君は、波打つお茶を見て不憫そうに眼を細めた。


佐助「上司の耳に耳かきが刺さったら俺も困る。
 少し時間稼ぎをしてくるから休んでて」

「ありがとう!」


震える手でお茶を飲み、足腰をさすって気を紛らせていると、佐助君が言いつけてくれたのか女中さん達が綺麗な着物を持ってきてくれた。


女中「長旅をしてきたとのことで着替えをお持ちしました。身体をお拭きしますね」


湯浴みの時間には少し早かったため、大急ぎで準備をしているところだと女中さんは申し訳なさそうにしている。

お湯を絞った手ぬぐいで汗や埃を拭きとってもらって、おかげで少しサッパリした。

持ってきてくれた清潔な襦袢と若葉色の着物に袖を通し、帯を締め終わった頃、廊下を荒々しく歩いてくる足音がした。

その足音を聞き、女中さん達が顔を強張らせて部屋の隅にさがった。

足音で誰が来たのかわかったようだ。


(誰だろう、謙信様かな?)


安土城でこんなに廊下を踏み鳴らしたら、絶対秀吉さんに怒られる。

私も女中さんにならって座った方が良いのか、そもそもこの足音の主はこの部屋を目指しているのか。

迷っているうちにゾッとするような冷たい声がして、襖は開いた。


謙信「入るぞ」

「………っ!?」


どうぞと言う暇もなく、政宗と同じようなタイミングで襖が開き、そこには謙信様が立っていた。

相手が政宗なら文句のひとつでも出てくるけど、相手が謙信様だったので目で驚きを露わにするしかなかった。


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