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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第31章 耳掃除をしよう(春日山勢)


「な、なにそれ……怖いんですけど…!
 相手は誰?軒猿の棟梁とか?」

佐助「もちろん謙信様だ」

「謙信様って……佐助君が命を助けたっていう上司じゃ?」


何度か会ったけど、いつも寡黙で気だるそにしている人だった。

そんなぶっとんだ人には見えなかったけど違うらしい。


佐助「俺を忍びにしてくれるために訓練してくれたからね。
 それの延長戦、または謙信様の趣味だと俺は思ってる」

「しゅ、趣味で斬りこまれてもねぇ……?」


大丈夫なの?と視線を送ると、佐助君は無表情で頷いた。
そう重く受け止めている様子はないので、ひとまず安心した。


佐助「だけど5日間あれば余裕で越後を往復できる。
 ただ舞さんが言う通り、耳掃除のためだけに越後に来てもらうのは可哀想だ。
 君にご褒美的なものがあると良いんだけど…」


(う、連れて行く気まんまんだ!
 ここはどうにかして諦めてもらわないと…)


行きたくない私をよそに佐助君は褒美を思案し、何か閃いたようだった。


佐助「兼続さんが冬の副業として領民に作らせている貴重な布があったはずだ。
 それで手を打たない?俺から謙信様と兼続さんに交渉するからさ」

「貴重な布ってどんな?」


断る気でいたけれど貴重な布と言われると話が変わってくる。
戦国時代には現代ではお目にかかれない布がゴロゴロあるから、この時代で貴重と言えば本当に貴重なモノだ。

どんな布なのか尋ねると、佐助君は眉を寄せて腕組みをした。


佐助「ごめん。名前をど忘れした。
 以前朝廷にも献上したことがあるって言っていた布なんだけど……」


朝廷に献上と聞いて埋もれた記憶に小さく引っかかった。


(あれ…何だっけ……確か、そういう布があったはず)


デザイナーを目指して勉強中の頃、和装の授業で『とても高価で貴重な品』ということで実物を見られなかった布があった。

名前を思い出せずに難しい顔をしていると、佐助君がさらに畳みかけてきた。


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