第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
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それから約半年が経ち、舞は謙信の養女となった。
すぐに兼続と夫婦になるのかと思いきや、謙信が『娘となった舞としばしのあいだ過ごしたい』と臍を曲げ、祝言はさらに半年後とされた。
謙信は舞が『お父様のために縫いあげました』とプレゼントしてくれた羽織を飾り、ため息をついている。
謙信「娘が可愛すぎて困る。
こんな羽織を贈られては、ますます嫁にやるのが惜しい」
兼続「謙信様、そろそろ軍議の刻限です。皆が大広間で待っております」
謙信「祝言の準備は進んでいるか?」
兼続「滞りなく進んでおります」
良いことのはずなのに謙信の顔はますます曇った。
謙信「おおいに滞らせて半年ではなく、1年後にしてもいいぞ」
兼続「ご安心ください。滞りなく進んでおります」
兼続はにべもなく言い、謙信は肩を落とす。
謙信に会いに来た舞は偶然その会話を聞いてプッと吹き出した。