第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
兼続「500年後で許嫁とは言わないのか。
ならば将来夫婦になる約束を交わした仲、と言えばわかるか?」
「しょうらいふうふになるやくそくをかわした仲?
つまり婚約者とかフィアンセとか、そういう……?」
理解するまで固まっていた数秒ののち、舞は布団から飛び起きそうになった。
兼続が舞の肩をとっさに押さえなければ、また痛みに悶絶していたところだろう。
兼続「耳慣れない言葉だが、おおよそ合っていると思う。
今朝も傍にいてくれと言ったが舞と夫婦になりたいんだ」
「急に言われても、あ、急じゃないか…」
熱っぽく見つめられて舞はあわあわと視線を泳がせている。
確かに連理の契りだったら良かったと言われ、舞はそれを喜び一緒にいたいと言った。
しかし朝の睦言が夜に現実味をもって迫ってきたとなると、展開に気後れするのも仕方なかっただろう。
「気持ちは嬉しいですが、このままでは交際ゼロ日婚約?になるんじゃ…」
兼続「別に気にしない。今の時代はコウサイゼロニチ婚姻?がまかり通っているからな。
それに1年間舞を見続けていたし、お互いを分かり合う日はこれからやってくる。
いや昨夜でだいぶ分かり合った気もするが…」
『交際ゼロ日』という現代の言葉を巧みに活用し、勢いをつけて説得してくる兼続に舞はSTOPをかけた。
「す、すみませんが少しの間保留でお願いします」
兼続「一度は了承し保留にするのは、やはり嫌になったか…?」
恋人という関係を経て婚約したい。そう思っての保留を兼続は勝手に解釈して肩を落としている。
「そうじゃなくて…」
兼続「わかった。俺なりにお前に頷いてもらえるように努力する」
「え?はい……」