第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
(第三者目線)
兼続は意識のない舞を壊れ物のように抱きかかえ、謙信の部屋を目指した。
2人ともなんとか身なりを整えているが、取り繕いようのない気だるさと色気を漂わせ、情事の後だというのが見てとれた。
兼続「最後まで無理をさせてしまった…」
兼続は心配と愛しさをにじませて舞を見つめ、静かに廊下を進んでいく。
途中、大勢の人間が急所を一撃されて気絶しており、その人数は城に閉じ込められたと聞いていた人数と同数か、それ以上だった。
誰がやったと考えるまでもなかった。
兼続「途中から人の気配が消えたのは謙信様のおかげだったか」
情事の途中で確認に出るわけにもいかず、人の気配がなくなったのを良いことに兼続は舞を抱き潰したのだった。
男を全員成敗するとは舞を守る方法として極端と言えたが、気絶している間に媚薬が切れるという、男達が一番苦しまない方法でもある。
謙信に気絶させられる恐怖はさぞかし死を覚悟するものであったろうと、兼続は男達を静かに見下ろした。
その謙信と言えば媚薬をどう克服したのか不明だが、いつもと変わらない表情で兼続を迎え入れた。
兼続の腕の中で気絶したように眠っている舞に心配の表情を浮かべていたが、事情を聞くうちに色違いの目に剣呑な光が浮かび上がった。
謙信「同意の上だったのだろうな?」
兼続「はい」
謙信「舞は心優しい女だ。
兼続に強く求められて拒めなかった……わけではないだろうな」
舞の首にくっきりと残る噛み痕を認め、謙信が眉をひそめている。
最初に上書きして欲しいと誘ったのは舞だったが、その後の行いに思うことがあり、兼続は一瞬返事を迷い、謙信はそれを見逃さなかった。