第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
兼続「謙信様と話し合い、大名は早急に処分する」
「クビですか?」
兼続「謙信様とお前に危害を加えた罰としては斬首でも軽いな」
「えっ!?クビって首を斬るとかそうじゃなくて、大名をやめさせちゃうの?ってこと」
戦国時代でクビと言ったら斬首刑らしい。
500年のギャップが大きな食い違いをみせた。恐ろしい…。
兼続「この地は違う者が治めることになるだろう。
大名一家の直接的な処分は謙信様の采配だ」
「そうですか…」
現代人の感覚で言えば斬首はやめてほしい。
この時代の罪の裁き方は、私からすると容赦がなくて残酷すぎる。
兼続「お前が憂う必要はない。
大名が与えられた職務を全うしなかっただけのことだ」
「……見えないのに、私がもやもやと考えているのがよくわかりましたね」
兼続「ずっと舞を見てきたのだから、どんな時にどんな反応をするか知っているつもりだ」
兼続さんは私のつむじに頬をあて、抱きしめる腕に力をこめてきた。
いつも謙信様の斜め後ろで、鉄仮面の如く控えている人とは思えない甘やかし方だ。
(私のこと、見ていてくれたんだ……)
嬉しさに胸を詰まらせていると、兼続さんが気づかうように脛に手を置いた。
兼続「兎に角(とにかく)舞が無事でよかった。
今度ばかりは犯されたと…」
「だから大丈夫ですって」
またかと私が笑ったら、兼続さんの腕に力がこもった。
兼続「あの時の俺の心情を知る由もないだろう。この世の終わりかと思ったぞ。
それにあんなに走って膝は痛くなかったか」
「このくらいの怪我なら子供でも我慢できますよ。
それに私、こう見えて運動系の部活だったので走るのは得意なんです」
兼続「ブカツが何かわからないが、得意という割に息があがっていたようだが?」
せっかく得意分野を披露したのにからかわれ、うっと言葉がつまった。
でもいつもの兼続さんっぽくて、なんだか嬉しい。
「それはだって……体力を消耗していましたから。
湯殿で『しつこく』抱いたのはどなたでしたか?」
兼続さんがくすっと笑ったのが聞こえた。どんな顔をして笑っているんだろう。
湯殿も廊下も、押し入れも…ずっと暗い場所ばかり。こんなに近くに居るのに兼続さんの表情が見えなくて残念だ。