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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)


————

私達が避難したのは、なんと大名の私室だった。
といっても部屋で悠々としているわけではなく、また押し入れの中に身を隠しているのだけど。

兼続さんはここに着いてから真っ先に私の無事を確認した。

その剣幕に驚きつつも、あまりにもしつこく確認してくるので、オウムのように『大丈夫です。何もされていません』と答え続けた。

無事を確かめた後はずっと、座っている私を後ろから抱きしめてくれている。

兼続さんは陽動したついでに安全な場所はないか探してきたらしく、しかし残念ながら書庫も物置も、庭の奥にある庭番の小屋までも、安全とは言えない状態だという。


兼続「おそらく女に籠城されるのを避けるためだろうが、至るところの鍵が壊されていた。
 厠に行っても鍵はかからない」

「そんな……」


淡々と状況確認をしている間も抱きしめる腕は揺ぎなく、暗いのを幸い私は遠慮なくにやついていた。


「ところで大名はどこに行ったんですか?」


部屋に逃げ込んだ時に見たけれど大名が寝た形跡はなく、事態収拾に動いているのだろうかと、この時まではまだ大名の良心を信じていた。
ところが……


兼続「謙信様の報復に恐れをなして、大名一家はさっさと逃げたそうだ。
 門は外から閉鎖されているが、夜が明けたら外と連絡をとって開けさせるつもりだ」

「門が閉鎖!?私達、この屋敷に閉じ込められているってことですか?
 信じられない……大名って謙信様に仕えていたんですよね?
 謙信様に媚薬を盛って、怖くなって逃げるなんて忠誠心の欠片もないんじゃないですか?」

兼続「もともと権力に流動的な男で、無鉄砲なところがあった。
 謙信様も俺もあの男に何か期待したことはない。
 大名が逃げたと知っている男達も居るだろうが、屋敷の主の部屋にあがりこんでくる輩は少ないだろう。
 今夜はここでやり過ごす予定だ」

「わかりました」


なんでそんな小者感満載の人が大名になったんだろうかと思い、世襲制なんだと気づいた途端やるせなくなった。


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