第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
(兼続さんも抱いているうちに自制が効かなくなって、こんな感じだったのかな)
多くの種を撒き、孕ませたい生き物だと囁いた時の艷やかな声。
思い出してお腹に感じる兼続さんの気配にドキドキした。
『愛してもいない男に犯されて孕むなら……俺の子を孕んでくれ』
ぬるくゆるやかに…胎内にある兼続さんの欲望。
強引に出されてしまったものだけど、少し不安でとても愛しい…。
兼続さんにはドキドキするのに男に対しては嫌悪だ。
同じことをするにしても2人に対して抱く感情は天と地ほどもある。
男「はぁはぁ………、はっ、はは!
姫のナカが俺の子種で溢れてるっ!
あぁ……わかりますか?ほら、こんなにグチャグチャだ。
これで舞様は俺のものだ…!」
勝ち誇ったような男の声が高らかに響いた。
(怖い…)
独りよがりの欲望にぞっとしていると、襖が荒々しく開けられドカッという音と男の叫び声が重なった。
ガタガタン!!!と何かが家具に衝突して、部屋は静かになった。
嫌になるほど聞こえていた荒い息はどこかへ、もう何も聞こえない。
(………何が起きたのっ?)
突然自慰は始まるし、おかずにされるし、今度は何だというんだろう。
暴力が振るわれたのは確かなようだけど誰が誰に対して行われたものか……。
兼続「舞っ、無事かっ!?」
押し入れが勢いよく開けられて、流れ込んできた新鮮な空気と一緒に藤の香りがした。
「兼続さん……?」
兼続「早くこいっ」
兼続さんは布団をどかし、道を作ってくれた。
差し伸べられた手に手を乗せると、力強く引っ張られて抱きしめられた。
兼続「舞が犯されたかと……良かったっ…。
何もされていないかっ!?」
余裕なく抱きしめてくる兼続さんに胸いっぱいになり、私も抱きしめ返した。
部屋の隅に男性が下半身丸出しでひっくり返っている。男の迫真に迫る自慰が誤解を与え、慌てた兼続さんが一撃で退(しりぞ)けたらしい。
「何もされていません。あの男性は偶然この部屋で、えぇと……自慰をしていただけです」
兼続「何故舞の名を口にしていたんだ?」
「それは……」
兼続「知り合いじゃないだろう。
あの男は確か国境(くにざかい)の警備をしている者だ。面識はないだろう」