第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
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舞は脱衣所に置き忘れられていた古い襦袢を、俺は羽織だけ羽織って湯殿を出た。
お互いあられもない格好だが全裸よりはマシだ。そう思って歩いていた時に、運悪く徘徊していた男達と鉢合わせてしまった。
「っ!!!!!」
出会いがしらのことで互いに面喰ったが、俺よりも早く舞が反応した。
片腕を上げて顔を覆い、俺の影に隠れたのだ。
いつになく素早い反応は本能的に危険だと感じたのだろう。
「兼続さんっ…!」
兼続「ちっ、人数が多い。まずいな…」
男1「おっ、おいっ、女だ!」
兼続「逃げるぞっ!!」
「は、はいっ!」
男2「本当だ、女だ…女がいたっ!」
男3「こっちにもまわしてくれよ、頼む。
もう、辛いんだっ……!」
真っ青になっている舞の手をひいて走った。
追いすがる男達を地に伏せたが、舞をかばいながらでは数が多く、さばききれなかった。
逃げ回っている間に舞の身元が割れ、猶更男達の目の色が変わった。
男3「あの女、舞姫だっ!」
男4「なんだと!?」
今日は謙信様の寵姫がどんな女なのかと、披露目を心待ちにしていた者も多かった。
舞はその期待を裏切らず美しい姿で現れ、たちまち皆の注目を浴びていた。
謙信様と仲睦まじげに笑い、寄っかかって甘える仕草も男達に可愛らしく映ったことだろう。
一般的に姫とは、しとやかで品のあることを良しとされる。
人前で男に寄りかかるなどありえないが、何故か舞がするとあだっぽさはなく、可愛さだけがあまった。
俺も目を惹かれたからわかる――――舞は、男達にとって極上の女だ。