第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
「……?ここ、どこ……?」
まだぼんやりとした目をしていて、直前の記憶が飛んでいるようだ。
兼続「まだ湯殿だ。洗ったら出るぞ」
「湯殿…あ、そっか……」
水でぬらした手ぬぐいをとり、舞の膝小僧を洗ってやる。
俺の膝は少々赤みがある程度だったが舞の場合は床に擦れて血が出ていた。
自分の体重だけでなく俺に圧(の)し掛かられて腰を振られたのだ。相当痛かっただろう。
(謙信様なら愛する女人に傷をつけるまねをしない)
そう思うととてつもなく自分が情けない。
「つっ……!」
膝の傷に水が触れると沁みたのだろう、舞は顔をしかめた。
兼続「悪かった」
言い訳はしたくなかった。嫌がる舞の反応に興奮したのは事実。
抱いている最中、膝が痛いだろうとわかっていたが、俺が抱いた痕跡が残れば良いとわざと圧し掛かって腰を振った。
勝手に他の男に奪われる想像をして種を植え付けるとは……言い訳できない。
「どうしよう………私……」
舞は薄い腹を撫でながら俯いてしまった。何を心配しているのかは一目瞭然だ。
兼続「……本当に悪かった。月のものがくるまで不安だろう」
コクンと頷かれて、自分のしたことを酷く後悔した。
兼続「舞が許してくれるなら傍で見守らせてくれ。
月のものがきてもこなくても、俺はお前の支えでありたい。
許してくれ……」
情事の最中は軽蔑しろと言ったが、果たして舞がどう思ったか…。
さっきまで縦横無尽に暴れていた猛獣が、内側に引っ込んで小さくなっている。なんとも卑怯な獣だ。