第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
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舞を夜這いした男は4人だった。
(短時間で事を済ませる算段か。
頭数をそろえてやってくるとは卑怯な奴らだ)
舞の手足を押さえつけていた男が2人、寝間着を剥ごうとしていた男、雄をさらけだして貫こうとしていた男。
それぞれ全員の手首をへし折った。
手首を押さえてうずくまる男達の腹を蹴り上げ、それでも怒りは収まらなかった。
畳に転がっている男達は誰一人動けず、呻き声をあげているだけだ。
(ピクリとでも動いてみろ。
動かなくなるまで殴ってやる)
刀を抜かなかったのは舞の前だからだ。
斬り伏せることができなかった分、時間をかけて痛めつけてやる。
兼続「舞が味わった屈辱と恐怖は骨の数本ごときで贖(あがな)えない」
男達は戦意喪失しているが尚も追い詰める。
(殺してやりたい…っ)
もうこうなったら自分でもどうにもならない。
炎の消し方を知らないのだから自然に落ち着くまで傷めつけるしかない。
一番近くに倒れていた男を踏みつけようとしたが、唐突に寝間着の袖を引っ張られた。
「兼続さん、もうっ、もういいですっ!
それ以上やったら、その人達、死んじゃうっ」
布を引く力は弱かったが、守るべき存在を思い出させるには充分だった。
「もうその人達のことはいいですから!
気持ちが悪いので私を湯殿に連れて行ってください」
自分のことは自分でする女が湯殿に連れていけと言ったのは、未だに興奮している俺を止めるためだろう。
腰が抜けている自分に気づきもせずに、男達の怪我や俺のこと、人のことばかり気にしている。
(こんな時でも無鉄砲で思いやりがあるのか……。
俺とはまったく違う人種だな)
ふと怒りが薄らぎ、今は舞を優先しなければという気になった。
兼続「わかった」
「っ、お願い、します…」
抱き上げた体はガタガタと震えていた。
男達の行いも恐ろしかっただろうに俺の凶行を目にしたのだ。身体に震えがくるのも当たり前だ。
寒くもないのに震えている舞を、俺は黙って湯殿に運び入れた。