第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)
さっきと全く同じ状況で眠ることになるのだとしたら、布団に横になったところで眠れないだろう。
(また誰かが忍び込んできたら抵抗できるのかな…)
それとも二度目だから体が動いてくれるものなのか…、悩んでも答えは出ない。
兼続「だったら襖を開けて寝ればいい。
異変があれば気付いてやれる」
「いいんですか?」
嬉しい提案に飛びつくように答えたら、兼続さんは苦虫をかみつぶしたような顔をした。
私は時々兼続さんにこの表情をさせてしまう。
兼続「良いから提案している」
(また呆れられちゃった。っ、汗が…)
無駄なことを聞くなと言わんばかりの兼続さんの首に、汗が流れていた。
私も大変な目にあったけど、兼続さんは現在も媚薬で落ち着かない状態だ。
これ以上わずらわせたくない。
「ではお言葉に甘えさせていただきます!
襖は開けさせていただきますが、衝立てで姿が見えないようにしますね」
兼続「そうしてくれ」
二人がかりで衝立てを移動させ、その後は兼続さんには部屋に戻ってもらい、一人で布団を整えた。
「よし、これで寝る準備OK。
兼続さんはもう寝たかな…」
下手に話しかけて神経を高ぶらせたらと思うと、就寝の挨拶ひとつにしても迷う。
座り込んでしばらく迷っていると、衝立の向こうから声をかけられた。
兼続「支度は整ったか?」
「は、はい!今、兼続さんに就寝の挨拶をしようか迷っていたところでしたっ」
勢いで余計なことまで言ってしまった。
さっさと寝ろと思われているかもしれないのに挨拶云々言ったところで面倒だと思われるだろうに。
額を押さえて反省していると、衝立の向こうから兼続さんが顔だけヒョイと出した。
兼続「なんだ、そんなことを気にしていたのか。
おやすみ」
「っ!?お、おやすみなさい、兼続さん」
(兼続さんと就寝の挨拶を交わす機会がくるなんて…!)
普通に挨拶を返したつもりが兼続さんに動揺が伝わったようで、彼はふっと笑って去っていった。
すぐに部屋の明かりは落とされ真っ暗に…。
しかし続き部屋の襖は全開で、兼続さんの気配も感じる。
(兼続さんが居る……)
不安が薄らぎ、私は深く息を吐いて目を閉じた。